お知らせ(声明・要望)

福島県立大野病院事件の事故調査を求める要望書」に関するご報告

1.医療問題弁護団は、平成21年11月24日、「福島県立大野病院事件検討報告書-刑事記録等から見えてきたもの-」 を公表するとともに、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会および日本麻酔科学会に対し、「福島県立大野病院事件の事故調査を求める要望書」 を提出しました。
2.日本産科婦人科学会からは同年12月12日付文書により、日本産婦人科医会からは同年12月25日付文書により、事故調査委員会を設置する意向がない旨の回答を受けました。
そこで、医療問題弁護団は、平成22年5月25日、「福島県立大野病院事件の事故調査を求める再度の要望書」を、日本産婦人科医会と日本産科婦人科学会に対し提出しました。しかし、日本産科婦人科学会からは同年6月12日付文書により、日本産婦人科医会からは同年7月27日付回答書により、本事件に関して事故調査を行う予定はないとの回答が再びありました。
日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会には、専門家職能集団としての社会的役割を期待しておりましたので、両団体が本事件の調査を行わないとの結論を下したことは大変残念です。加えて、両団体とも、「刑事判決の内容は、妥当なものである」(日本産科婦人科学会)、刑事判決が確定し「その結果については万人が十分に尊重すべき」(日本産婦人科医会)であるから事故調査を行わないとしていることに、違和感を覚えました。医療界では、常日頃から、“刑事裁判では医療事故の原因究明や再発防止はできない”と刑事裁判に対する批判の声が大きいにもかかわらず、無罪判決のときにはそれを理由に事故調査をしないという対応は、業界外の一般市民から見ると辻褄が合わない考え方のようにも映るのではないかと思われます。
3.日本麻酔科学会からは、要望書に対する直接の回答はいただいておりません。
もっとも、要望書が契機となり、2010年6月5日、福岡にて、日本麻酔科学会第57回学術集会市民参加シンポジウム「周術期管理における麻酔科医の役割-手術前・手術中・手術後の患者ケアについて-」が開催され、周術期の全身管理・危機管理に対する麻酔科医の役割について討議が行われました。同シンポジウムには、医療問題弁護団代表であり福島県立大野病院事件検討班の一員でもあった弁護士鈴木利廣もシンポジストとして参加し、当弁護団の検討報告書について発表いたしました。
しかし、本事件には麻酔科医の診療に関する問題点が含まれているのであり、日本麻酔科学会が本事件の事故調査を行わないのは、大変残念であると考えています。

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