新生児仮死に対する処置

出生後、呼吸状態・循環状態となり、重度の後遺障害負い、出生5年後に死亡したケースについて、児に対する適切な処置をとらなかったことによる後遺障害発生の責任有無が争われた。

僧帽弁形成術・三尖弁輪形成術、無尿状態

僧帽弁形成術・三尖弁輪形成術を受けた患者が、術翌日に突然無状態に陥ったが、その原因が急性腎不全か、心疾患(僧帽弁逆流再発)か、その判断の適否が争われた。

人工妊娠中絶出に伴う消化管穿孔

人工妊娠中絶手術の際、子宮穿孔及び小腸表面組織剥離を生じ、転院先病院で閉腹止血術及び小腸部分切除術を受けるなどの傷害を受けた。

テオフィリン中毒に対する処置、出血性ショックの原因

喘息の投薬治療を受けていた患児がテオフィリン中毒を起こし、処置中に出血性ショックを起こして死亡したケースについて、出血原因がカテーテル刺入による血管損傷を原因とするか、テオフィリン中毒が原因かが争われた。最高裁判決により確定。

消化管再建法、輸入脚症候群の発生及び治療責任

早期胃癌の診断により胃切除(全摘)術を受けた後、術後合併症(輸入脚症候群、膵液瘻)を発症し、さらに、合併症に対する適切な治療がなされなかったために、転院先の病院で死亡するに至ったケースにつき、消化管再建法の選択、合併症に対する治療責任が争われた。

新生児仮死に対する処置

母体内で仮死状態に陥り新生児仮死状態で出生したが、出生後、呼吸状態が悪かったにもかかわらず、十分な蘇生処置が講じられないままに重症新生児仮死状態が継続した。出生後約40分が経過して初めて気管内挿管の処置を受け、転送先の病院で治療を受けたが、重症仮死は改善されることなく、低酸素性虚血性脳症を発症し、脳に不可逆的障害を負い、重度の脳性麻痺に陥った。分娩方法の選択及び新生児仮死に対する処置に誤りがあったかどうかが争われた。

消化管に対する遅発性穿孔と開腹手術の時期

C型慢性肝炎の治療を受けていた患者が肝細胞癌に罹患したため、RFA(高周波熱凝固療法)を受けたところ、RFA後に十二指腸穿孔を生じ、3度にわたる手術を受けたが敗血症を原因として死亡するに至ったケースについて、早期に汎発性腹膜炎と診断して開腹手術を実施すべき注意義務の有無について争われた。

呼吸停止 蘇生措置

のどの痛みを訴えて受診、小児科で治療を受けている途中呼吸停止に陥ったため、心臓マッサージなどの蘇生措置を講じたが開腹するに至らず、、呼吸停止から13分後に気管内挿管を施した。男児は呼吸停止の状態からは回復したが、低酸素性脳症となり、約7カ月後に死亡した。呼吸停止直後に適切な処置を講じるべき注意義務があったかどうかが争いになった。

分娩方法の選択(吸引分娩・帝王切開手術)

吸引分娩を何度か試みたが児の娩出に至らず、さらに吸引による娩出を継続したところ、低酸素脳症になり重度の後遺障害が残ったケースについて、吸引分娩によって娩出できなかった時点で帝王切開に切り替えるべき注意義務違反があったか否かが争われた。

痙攣重責 高炭酸ガス血症 重度の後遺症

出生直後の児が痙攣重責状態、高炭酸ガス血症の状態にありながら適切な処置を講じなかったため、重度の後遺障害が残ったケースについて、出生直後の児の状態を把握し適切な処置を講じなかった注意義務違反が争われた。