お知らせ(事件報告・提言)
「新宿セントラルクリニック」(林道也医師) 性感染症詐欺事件 判決(第二次提訴事件)のご報告
医療問題弁護団
新宿セントラルクリニック対策班
「新宿セントラルクリニック」(林道也医師、東京都新宿区新宿3丁目11番11号ダイアンビル9階)の行った性感染症詐欺事件の民事訴訟において、2015年8月19日の第一次提訴事件の判決のご報告に続き、本日、第二次提訴事件の原告患者の損害賠償請求を認める判決が下されました。
林道也医師は、性感染症検査を受けた患者Bさんに、実際には検査結果は陰性で感染していなかったにもかかわらず、性器クラミジア感染症と性器ヘルペスの検査結果が陽性であると偽り、必要のない投薬や検査を行い続けました。
その手口の詳細は、陰茎と股関節の疼痛、立ちくらみ、倦怠感、肛門や耳の裏の掻痒などを訴えたBさんに、性器クラミジア感染症と性器ヘルペスの診断のためと称して尿検査だけでなく血液検査をも行い(男性の性器クラミジア感染症と性器ヘルペスの診断は尿検査で行うため、通常、血液検査は不要)、さらに、性器クラミジア感染症の血液検査の陽性・陰性の判定基準値(カットオフインデックス)が本来は「0.90」であるのに「0.00」と虚偽記載した自作の検査結果報告書をBさんに交付し、「検査結果は陽性です」と告げるものでした。
Bさん(原告)は、2015年1月21日、林道也医師(被告)に対し、詐欺などを理由として治療費と慰謝料などの損害賠償を求めて、東京地方裁判所に提訴しました。
そして本日、東京地方裁判所(民事第14部、手嶋あさみ裁判長)は、被告林道也医師に対し、損害賠償金75万余円の支払いを命ずる判決を下しました。
判決は、林道也医師の主張について「被告の主張を裏付ける客観的根拠がない」と指摘した上で、次のとおり判示しています。
「被告は、合理的な医学的根拠もないのに原告がクラミジア感染症に罹患していると診断した上、原告に対しては、核酸増幅法による検査結果が陰性であった旨をあえて知らせなかったばかりか、検査の意義に乏しいとされる血清抗体検査についても、あたかも基準値を超えるクラミジアトラコマチス抗体が検出されたかのような外観を呈する検査結果票を作成交付し、クラミジア感染症に罹患している旨を説明して、その治療や処方をしていたのであって、このような行為が、当時の臨床医学の実践における医療水準に反する著しく不合理なものであったことは明らかというべきである。そしてその客観的経過からすると、被告は、当初からカットオフインデックスを0.00に改変して不合理な診断をすることを予定していたものと考えざるを得ず、初診時から同年7月26日までの一連の医療行為は、全体として、医師が診療契約に基づいて尽くすべき最善の注意義務に違反するものであって、客観的には詐欺行為との評価を受けてもやむを得ないものというべきである。」
また、林道也医師がBさんに対して診療録の開示拒否を拒否した点について、判決は、「患者である原告自身においても、診療経過を正確に把握して今後の治療方針を検討するため、医師である被告に対して診療録の開示を求めることはもっともなことであって、そのような求めを正当な理由なく拒むことは、その診療契約上の報告義務に違反するとともに、不法行為法上も違法なものというべきである。被告がいうように、診療録の使用目的や開示を求める事情が不明であるとの一事をもって、その求めを拒否することに正当な理由があるとはいえない。」と判断しました。
当対策班としては、今後も引き続き、林道也医師に対し違法な診療を止めるよう求めるとともに、本判決において「詐欺行為」と認定されたことを踏まえ、行政機関及び捜査機関にもしかるべき対応を求めていきます。
また、「新宿セントラルクリニック」において性感染症詐欺被害に遭われた心当たりのある方は、医療問題弁護団までご相談ください。(弁護士服部功志、松井菜採、松田耕平、三枝恵真、佐藤省吾)