お知らせ(事件報告・提言)
レーシック手術による被害に関する損害賠償集団訴訟 一部(ドライアイに関する被害)「初」解決「勝訴的和解」の報告
レーシック被害対策弁護団
団長 弁護士 梶浦 明裕
(お問い合わせ連絡先)
東京都千代田区神田司町2-5 カツハタビル4階
東京あさひ法律事務所
電話 03-3293-3621 FAX 03-3293-3627
事務局長 弁護士 藤田 陽子
1 事件の概要
医療法人社団翔友会(東京都港区港南2丁目6番3号シントミビル8階 理事長綿引一)が開設する品川近視クリニックにおいて、十分な説明を受けないままレーシック手術を受けた4名の患者(平成19年3月~平成23年2月手術)に、術後ドライアイの遷延化の被害が生じたという事件です。
平成26年12月27日に原告12名、平成27年10月30日に原告9名がレーシックによる後遺症等被害につき損害賠償請求訴訟を提起しました(集団訴訟)。
本件は上記集団訴訟の原告のうち4名についての事件となります。
2 ドライアイ被害に関する損害賠償請求訴訟について
(1)本件の経緯
平成25年12月4日 | 消費者庁による発表「レーシック手術を安易に受けることは避け、リスクの説明を十分受けましょう!」※1 |
平成25年12月21日 | 当弁護団によるホットライン第1弾実施 |
平成26年12月17日 | 第1次提訴(原告12名。うち本件原告3名) |
平成26年12月21日 | 当弁護団によるホットライン実施第2弾 同日までの電話総数のうち約60%が品川近視クリニックに関する相談。 |
平成27年10月30日 | 第2次提訴(原告9名。うち本件原告1名) |
※1 http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/131204kouhyou_1.pdf
平成29年 5月25日 | 証人尋問(医師2名)、本人尋問(本件原告4名全員) |
平成30年 3月22日 | 本件原告4名について和解成立 |
(2)訴訟の争点-説明義務違反
ドライアイは、レーシック手術の合併症であり、通常術後半年程度で改善することが多いが、原告は、半年を超えてドライアイが遷延化したり、人工涙液の点眼では改善せず、涙点プラグの挿入が必要になる場合がある。
そのため、医師には、レーシック手術の合併症として、術後生じたドライアイの中にはドライアイが遷延化する場合や、人工涙液の点眼では改善せず、涙点プラグの挿入という外科的治療が必要になる場合があることを説明すべき注意義務がある。
にもかかわらず、上記説明を行わなかった注意義務違反の過失が認められる。
(3)和解条項
詳細は和解条項<PDF>のとおりです。
なお、本件は、レーシック手術による被害に関する損害賠償請求訴訟(集団訴訟)初の解決(勝訴的和解)事案となります。
本件和解は、レーシック手術におけるドライアイを始めとする合併症の術前説明(インフォームド・コンセント)のありかたについて、今後レーシック手術を受ける患者が誤解することなく正しい理解のもと実施されることを求めるものです。
レーシック手術についてはその数の減少が報道されていますが、原告らも当弁護団も、レーシック手術そのものを否定するものではありません。問題は、医療行為としては考え難い極端に合理化された手術や前提としての説明の在り方にあると考えています。
この点、品川近視クリニックで行われた術前説明等が患者の誤解を招くものであることは、裁判所(裁判長)からも厳しく指摘ないし追及されたところでもあります。
本件和解は、合併症等についての詳しい説明なしに、レーシック手術の利点ばかりを強調し、過度な誘引行為がなされた営利主義的なレーシック手術に警鐘をならし、抑止する画期的なものであると考えます。
3 医療法人社団翔友会への要請書提出
本件和解条項に基づき、医療法人社団翔友会へ要請書(和解を踏まえた再発防止策の実施要望書<PDF>)を本年3月21日に発送しました(本日3月22日10時過ぎに到着)。
要望書には本件問題点(裁判所の指摘)が集約されています。
要請書は、上記レーシック手術におけるドライアイを始めとする合併症の術前説明(インフォームド・コンセント)のありかたについて、今後レーシック手術を受ける患者が誤解することなく正しい理解のもと実施されることを求める内容です。
4 レーシック被害電話相談
他にも多数の被害者がいると考えられるため、レーシック手術を受け、後遺症・合併症が生じたなどの健康被害を生じた方を対象に、引き続き無料電話相談を実施しています。相談者の居住地域、相手方医療機関は限定しません。
医療問題弁護団 電話番号:03-5698-8544
http://www.iryo-bengo.com/
以上