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お知らせ(事件報告・提言)

包茎手術被害に関する損害賠償訴訟 和解解決の報告

「包茎手術被害対策弁護団」が担当した、男性器の治療(包茎手術、亀頭増大術等)を実施するクリニックに対する、包茎手術や亀頭増大術などの手術に関して、手術の合併症や効果に関する説明が欠落したこと等を理由として損害賠償を求めて提訴した民事訴訟において和解が成立しました。
(包茎手術被害対策弁護団 団員 弁護士 鹿島 裕輔)

1 事件の概要

男性器の治療(包茎手術、亀頭増大術等)を実施するクリニックにおいて、包茎手術及びそれに伴い勧められた亀頭増大術などの手術に関して、手術の合併症や効果に関する説明が欠落し、かつ効果に関する説明が事実に反していたとして、手術を受けた患者が損害賠償を求めて提訴した事件です。

2 本件の経緯

平成28年6月23日 国民生活センターによる発表「美容医療サービスにみる包茎手術の問題点」※1

平成28年6月26日 当弁護団によるホットライン実施※2

平成30年2月7日 提訴

平成31年3月27日 和解成立

※1 http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160623_2.html

※2 ホットライン当日の相談件数は55件

   2020年6月26日時点での電話相談件数は62件

3 本件訴訟における原告の主張

① 本件において、患者が受けた亀頭増大術で使用されたヒアルロン酸は、吸収性の物質であるため、当該物質を注入することで一時的に大きさに変化があったとしても、その持続期間は平均して6ヶ月から1年間とされており、少なくともその効果が永久的に持続することはない。

そのため、医師は、診療契約を締結するにあたり、患者に対し、かかる手術による効果(利害得失)として、「ヒアルロン酸は吸収性の物質であるため、当該物質を注入することで一時的に大きさに変化があったとしても、その持続期間は平均して6ヶ月から1年間とされており、少なくともその効果が永久的に持続することはない」旨を丁寧に説明すべきであり、かつ患者が本件亀頭増大術の効果を正しく理解し、納得した上で診療契約を締結することができるよう即日施術の回避を含めて熟慮の機会を確保すべき義務があった。

にもかかわらず、医師は、患者に対して、当該医院で使用しているヒアルロン酸を注入することにより効果が長期間持続するかのように患者を誤診させる説明を行った。

② ヒアルロン酸の注入にあたっては、紅斑・発赤、浮腫・腫脹、疼痛、紫斑、皮膚壊死やアレルギー、炎症反応などの合併症や副作用が生じる危険性がある。

そのため、医師は、診療契約を締結するにあたり、患者に対し、「手術に付随する危険性」として、紅斑・発赤、浮腫・腫脹、疼痛、紫斑、皮膚壊死やアレルギー、炎症反応などの合併症や副作用の発症の可能性やその危険性について丁寧に説明すべきであり、かつ患者が本件亀頭増大術の危険性を正しく理解し、納得した上で診療契約を締結することができるよう即日施術の回避を含めて熟慮の機会を確保すべき義務があった。

にもかかわらず、医師は、患者に対して、上記合併症や副作用について説明しなかった。

③ 男性器へのヒアルロン酸注入は医学的に一般に承認されている使用方法ではないため、医師は、本件診療契約を締結するにあたり、患者に対し、本件亀頭増大術が医学的に一般に承認されていない施術であることを説明すべき義務があった。

にもかかわらず、医師は、患者に対して、本件亀頭増大術が医学的に一般に承認されていない施術であることを説明しなかった。

4 和解内容

  以下の内容を含む和解が成立しました(守秘条項がありますので、以下の限りで公表します。)。

(1)被告が、原告に対して、解決金を支払うこと

(2)被告は、患者に対して、施術に関する一般的な説明に加え「ヒアルロン酸の持続期間に関する当院の説明は、当院の医師のこれまでの医学的な経験に基づくものであり、持続期間を保証するものではない。」旨の説明を行い、これを書面等で確認することを約すること

(3)被告は、患者が来院時に希望した施術以外の施術(いわゆるトッピングやオプションを含む)を勧める場合、特に適切に費用対効果を吟味できる熟慮期間を設けることを約すること

5 今後の弁護団の活動

  包茎手術を始めとする自由診療領域においては、不必要な手術を勧められ、資力が少ないにも関わらず高額な契約を締結することがある等の問題点があります。医療の安全性やインフォームド・コンセントなど患者の権利が大きく損なわれていると同時に、消費者被害としての側面も大きく、このような種類の被害は「医療消費者被害」と呼ぶべきものです。また、包茎手術に関して言えば、羞恥心などから被害を受けていても声をあげにくいという実態もうかがわれます。

弁護団としましては、他の自由診療領域に関する被害救済に取り組む関連弁護団と連携するなどして、引き続き自由診療領域における医療消費者被害の再発防止に取り組んでいく所存です。

6 包茎手術被害相談

  他にも包茎手術などの美容医療による被害に悩んでいる方が多くいらっしゃると思いますので、包茎手術により痛みや後遺症が生じた、高額な手術・不要な手術を強く迫られたなどの被害に遭われた方は、下記の医療問題弁護団窓口までご相談ください。

 医療問題弁護団 電話番号:03-6909-7680

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