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団員リレーエッセイ弁護士の声

医療は未知の世界でしょうか(針ケ谷 健志)

1 医弁への道筋
 多くの人は生まれると同時に医療機関にお世話になり、幼少期からも医療関係者という存在を認識し、かかわりを持っていると思います。多くの人にとって医療界は法曹界よりも確実に身近な存在でしょう。しかし、私にとって医療の世界は身近でありながらも、未知の世界でした。特別興味がある世界でもありませんでした。
 私は、高校生になったとき、通学で一緒になった隣のクラスの人間が医学部へ進学すると決めている、と話をするようになりました。大学生になると、体育会の運営にかかわる関係から、医学部の学生と関わりが出てきました。地元の同級生が医学部に入学するようにもなりました。これらの出来事は、成長する過程で、偶然私の周りで起きたことです。しかし、各人にとっては、偶然ではなく、何かしらの意思があって、医療の世界に入り込んだのでしょう。医療の世界が、次第に身近に感じられてきました。ロースクール在学中には、司法試験には関係がないものの、医事法の講義を受講するなどし、次第にその世界への興味が強まっていきました。司法修習期には薬害訴訟弁護団にかかわるようになり、そのような流れで弁護士登録し、事務所の先輩弁護士が医弁に入っていたことも重なり、医療問題弁護団の団員としての活動が始まりました。
 もともと私は、公益や弱者の目線といった活動を生業にしたい、そのためには法律家が最適だと思って弁護士の道にたどり着きました。医療の世界に関わりながら、公益や弱者の目線を基盤とする活動を行おうとするならば、医弁にたどり着いたことは幸運だったのかもしれません。

2 団員としての活動から感じること
 医弁入団当初、私は数多くの相談にかかわりました。少なくとも現時点よりは相当多くの相談を受けたでしょう。相談内容からは、医療事故被害者の医療に対する疑問、不信感、何が起こったのかわからないという苦しみ、怒り、自身の後悔。そもそも自身の話ができないほどの状態の相談者もいらっしゃいました。医療事故被害者の苦しみの重大さ、医療事故の恐ろしさ、救済されない理不尽さ。医療事故被害者にとっては、医療の世界は未知なだけではなく、大きな恐怖や脅威になっているのではないでしょうか。相談に直面する中で、医療事故被害者に寄り添うことは非常に重要な意義がある、と私は強く思っていきました。一方で、相談のみで終了となった方々が数多かったですし、受任に至ったのちに関係が切れた事案もあります。一度きりや短期間の関わりだった被害者は、何を感じただろうか、私は関わった意味があったのか。現実・難しさや、自身の至らなさを感じるという日々でもありました。
 一方、未知の医療の世界を明らかにする機会も得ました。前線で活動する医師の講義や、協力医から聴取する感覚、救命救急や手術場面の立ち合い。どれも貴重な機会であり、これらの機会で獲得したものは印象深く、様々な形で今も生き、今後も様々な力の要素になると思っております。

3 これからの医療
 医療の世界は日進月歩ですが、未だ不明なことも多く、医療事故も残念ながら生じてしまうものだと思います。しかし、これから行う医療行為や生じた事故に対して十分な説明がなされれば、生じた事故から生じる不幸も減少させられるのではないでしょうか。一つ一つの医療が明らかになり、その集合である医療の世界も明るくなればと思います。

以 上

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