団員リレーエッセイ弁護士の声

とべないトランポリン(菊谷 淳子)

 徒歩二分の距離にいる元ボス(医療問題弁護団所属弁護士)に、出張土産を届けに行きました。
 ボスは、「見せたいものがあるんだよ」となにやら得意げに、クッション型のトランポリンをひっぱり出してきました。
 「これね、今人気なんだよね」ぴょんぴょんと飛んでみせるボス。私も飛んでみました。実は理学博士、のボスが薦めるだけあり、たしかに体幹に効果はありそうです。
 そんな私に「菊谷さんもやってみない? おすすめだよ」となぜか猛プッシュのボス。しかしお値段なんと1万8000円!
 ははん、わかります、長年お仕えしたボスですから。道連れがほしいんです。親子の縁は一世限り、夫婦の縁は二世だが、主従の縁は三世まで。しかしたとえ三世の縁でも1万8000円の未来の粗大ゴミはお供いたしかねます。せめて類似品を探します。

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 さて、ほんの少しだけ真面目な話を。保険診療の診療報酬は、法律で細かく定められているのですが、不思議なことに最新の高性能な機材を使っても性能のそれほどでもない機材を使っても同じ報酬しか医療機関に支払われません。
 医療機関としても最新の機材でベストな医療を提供したいというプロ意識はもちろんあるはずです。他方で病院にも経営があります。こういう報酬の決め方だと最新の機材は入れにくいでしょう。病院にお金がないから、ベストな医療は提供できない・・・というのは大きなジレンマなのではないかなと思います。

 医療過誤では、患者対医療機関という単純な図式だけがクローズアップされがちですが、本来はより良い医療を提供したい医療機関とより良い医療を受けたいという患者の見ている地点は同じはずです。

 その観点から見ると、ベストな医療の提供と経営という現実のせめぎ合いを医療機関に負わせる診療報酬制度の設計は改善が必要なのではないか、それが患者にとっても、より安全な医療を受けられることにつながるのではと思います。

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 自分の事務所に戻り、いろいろ検索してみました。類似品の価格帯は3000円から2万4000円。こういうものは安かろう悪かろうの傾向が強い。さすがに3000円はないな。しかしどのあたりが妥当だろうか・・・。いろんな商品がありすぎて選べません。そういう時どうすればよいか。

 二週間後、ボスにLINEを。「先生、もうそろそろ飽きた?」えへへ。普段ならだいたいこの時期には飽きるはず。が、ボスの答えは予期しないものでした。 

 「全然飽きてないよ」

えっ? ええっ? そんなにいいの? じゃ、買おうかな・・と逡巡する私にボスは答えました。

 「飽きるほどやってないんだよね・・・」

お供いたしかねます。 

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