お知らせ(眼科)

飛蚊症に対するレーザー治療

相手方施設 私立の診療所
診療科 眼科
患者属性 50歳代・男性
原疾患 飛蚊症
過誤の内容 患者が、相手方を初診した当日に、医師の勧めにより、発症後1~2週間の飛蚊症(両眼)に対するレーザー治療(レーザー・ビトレオライシス、自由診療)を受けたところ、右眼の水晶体後嚢に近い飛蚊症にレーザーが照射され、後嚢破損及び外傷性白内障が生じたという事案。
主たる争点 ①飛蚊症の症状発現から1~2週間での施術が適切であったか(数ヶ月の経過観察期間をおくべきではなかったか、という治療の適応に関する義務違反の有無)。
②水晶体後部あるいは後嚢にレーザーを誤照射したか(手技ミスの有無)。
進行の概略 話し合いによる解決ができなかったため、提訴し、争点整理手続が終了した段階で、裁判所から、争点②の過失が認められる可能性が高いことを前提に和解勧試がなされ、和解成立に至った(審理期間1年数ヶ月)。
苦労・工夫した点 飛蚊症レーザー治療に関する日本語論文が少なかったため、海外文献の証拠提出が必要となり、文献収集と裁判所提出用の翻訳に多大な労力を要した。
結果 訴訟上の和解(尋問前)
弁護士の事案の評価・感想 裁判所は、原告側に対し、手技ミスについて多大な立証を求めるものであると改めて感じた。  
その他、今後に向けて 調査の過程で、飛蚊症レーザー治療を行っている診療所のウエブサイトを複数確認したが、治療のリスクが記載されているものは少なく、「安全」「簡単」といった文言が目立つものが多かった。医師は、患者に対し、効果だけでなく、治療に伴うリスクや他の選択肢について、治療前に十分に説明し、緊急に治療をする必要がないのであれば、熟慮期間を与えるべきである。
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