折込広告を使った中高齢者美容医療被害 損害賠償請求訴訟、行政への要請書提出のご報告

医療問題弁護団 中高齢美容医療被害対策班
弁護士 石川 順子  弁護士 五十嵐裕美  弁護士 伊藤 茂孝
弁護士 木下正一郎  弁護士 中川 素充  弁護士 三枝 恵真
弁護士 藤田 陽子  弁護士 花垣 存彦  弁護士 田畑 俊治
弁護士 晴柀 雄太  弁護士 水口 瑛葉

(連絡先)
〒160-0022 東京都新宿区新宿1-19-7 新花ビル6階
オアシス法律事務所
電話 03-5363-0138 FAX 03-5363-0139
弁護士 晴柀はれまき 雄太

本日、新聞折込広告を見て美容医療クリニックを受診したところ、十分な説明のないまま施術や注射を受けるに至った上、高額請求を受けた患者ら2名が、美容医療クリニックの開設者である医師ら及び同医師らの名義を利用して診療所を開設したと思われる実質的経営者に対して損害賠償請求を提起するとともに、厚生労働大臣及び警視総監に対して要請書を提出致しましたので、ご報告致します。
1 中高齢者の美容医療被害が高額化 

近時、東京都内を中心に、中高齢女性を対象に新聞折込広告やポスティング広告を利用し、「リフトアップ注射」などと称し、「注射で簡単に若返る」、「切らないシワ・たるみ治療」などと広告し、同注射で注射によりシワが消え、その効果が永続するかのように来院患者を誤信させて、注射数本で高額な治療費を支払わせるという事案が相次いでおり、国民生活センターが注意喚起をしている 。※1
2 中高齢者美容医療被害対策班の取組み 

医療問題弁護団※2では、定期的に医療法律相談を行っているところ、上記国民生活センターが記者発表をした事案と同種の相談が複数寄せられたことから、医療問題弁護団の弁護士有志で中高齢者美容医療被害対策班を立ち上げ、同種被害を受けた患者らの損害賠償請求を含めた被害回復、再発防止に向けた活動を行ってきた。当対策班が把握した同種被害の事例については、「医療機関一覧」参照。※1 60歳以上の美容医療トラブルが高額化!しわ取り注射で1,300万円もの請求が」(国民生活センター 2015年9月15日発表情報) 
※2 東京を中心とする240名余りの弁護士を団員に擁し、医療事故被害者の救済、医療事故の再発防止のための諸活動を行うことを通じて、患者の権利を確立し、かつ安全で良質な医療を実現することを目的とする団体。
3 本件の特徴 

本件は、単なる医療過誤事件ではなく、中高齢者をターゲットとして高額な治療費を請求する、医療消費者被害事件である。

本件の患者らが受診した美容医療クリニックは、いずれも医師個人を開設者として届出がなされている。しかし、本件及び類似被害事例(配布資料「医療機関一覧」)は、いずれも下記のような多くの共通点を有しており、患者らはいずれもリフトアップ注射に数百万円を支払うなど高額被害を生じている。

(各事例に見られる共通点)

・クリニック名に駅名が付されている。

・施術代金の送金口座や電話回線の名義人が同一である。

・中高齢者をターゲットとして新聞折込広告の利用。

・患者側代理人の介入後に多くの診療所が廃止した。

このような事情から、背後に組織的関与が疑われ、実質的経営者が医師の名義を利用し(いわゆる名義貸し)、美容医療の診療所を開設して、患者らに対して高額な治療費を請求しているものと考えられる。
4 損害賠償請求 

(1)原告 2名(60代女性、80代女性)

(2)被告 診療所の開設者及び口座名義を提供するなど同人らと共謀して診療所開設、運営を行った者

(3)訴額 約1090万円
5 行政への要請書提出 

当対策班は、上記のような組織的関与の実態を解明するとともに同種被害の拡大を防止するため、厚生労働省及び警視庁に対して要請を行った。

(1)厚生労働省 開設実態及び診療実態についての調査を実施し、調査結果を踏まえた適切な行政処分や刑事告発を行うことを求める。

(2)警 視 庁 高齢者を対象とする美容医療事案に対する捜査着手の要請
6 相談窓口 

本件は、組織的関与が疑われる事案であり、同種被害は他にも多数発生していると考えられる。同種被害の相談については、医療問題弁護団の相談窓口において対応する予定である。

医療問題弁護団 相談受付電話番号:03-6909-7680以上

12月16日(土)16:00~17:00 署名活動を御茶ノ水駅 御茶ノ水橋口改札前で行いました

公正な医療事故調査制度の確立を求めて チラシ配布・署名活動を 次の日時・場所で,行いました。

<第96弾>2017年12月16日(土)16:00~17:00

場所 JR中央線・総武線 御茶ノ水駅 御茶ノ水橋口改札前

「症例研究会」を開催しました。

平成29年11月14日、医療問題弁護団主催「症例研究会」を開催しました(報告担当:渡邊隼人団員、加藤貴子団員)。今回の研究会のテーマは「手技」でした。「症例研究会」は、医療問題弁護団の弁護士と、医療従事者(医師、薬剤師、看護師)、医療事故被害者、法律学者など、医療と医療事故に関係する多様な職種の方々にご参加いただき、毎回設定した題材に沿った裁判例報告や医学講演などを踏まえて自由闊達な議論を交わすことにより、相互理解・相互交流ひいては医療安全の向上を目的として開催しています。

東京三弁護士会医療関係事件検討協議会が開催されました

東京三弁護士会医療関係事件検討協議会が開催されました(団員が委員として参加)

東京三弁護士会医療関係事件検討協議会が開催されました

東京三弁護士会医療関係事件検討協議会が開催されました(団員が委員として参加)

東京三弁護士会医療関係事件検討協議会が開催されました

東京三弁護士会医療関係事件検討協議会が開催されました(団員が委員として参加)

11月19日(日)16:00~17:00 署名活動を水道橋駅 東口改札前で行いました

公正な医療事故調査制度の確立を求めて チラシ配布・署名活動を 次の日時・場所で,行いました。

<第95弾>2017年11月19日(日)16:00~17:00

場所 JR総武線 水道橋駅 東口改札前

医療問題弁護団40周年記念シンポジウムを開催しました!

去る2017年10月28日、下記内容で医療問題弁護団40周年記念シンポジウムを開催しました。

当日は、沢山の方々にご来場頂き、盛況のうちに終了することができました。

ご協力下さった皆様、本当にありがとうございました。

 

 

日時:2017年10月28日(土)13:00~17:00
(開場12:30)
場所:イイノホール 4階 ルームA(地図は,末尾のチラシをご参照下さい。)

 

私たち医療問題弁護団は、医療被害の救済・医療事故再発防止・患者の権利確立を目的として1977年に結成して以来、40周年を迎えました。
40年前、私たちは「医療に巣くう病根」を4つの視点から分析しました。40年後の現在、私たちが取り組んできた医療被害救済に関する事件活動もふまえ、医療現場に残された現代的課題について、団員の報告やパネルディスカッションを通じて探っていきたいと思います。
[プログラム]
第1部 報告 (13:00~14:30)
医療問題弁護団からの報告
~40年前の「医療に巣くう病根」と、医療現場の現代的課題~
第2部 パネルディスカッション (14:45~17:00 質疑応答含む)
<パネリスト>
豊田郁子氏(患者・家族と医療をつなぐNPO法人架け橋 理事長)
浦松雅史氏(東京医科大学医学部 医療の質・安全管理学分野 専任講師)
隈本邦彦氏(江戸川大学教授)
児玉安司氏(弁護士)
安原幸彦(弁護士 医療問題弁護団代表)
<コーディネーター>
安東宏三氏(弁護士 医療問題弁護団幹事長)

講演会を開催しました

平成29年7月4日,元医療集中部判事を講師にお招きし,講演会を開催しました。

医療集中部,高等裁判所判事、最高裁判所調査官を経験された元判事による講演を開催し,医療事件に対する裁判官の姿勢,控訴審の審理と第一審の審理の相違点,最高裁判所での調査官の事件処理方法等の,普段聞くことのできない,大変貴重で有意義なお話をうかがうことができました。

当弁護団において医療事件に携わるようになって

弁護士 飯渕 裕

このリレーエッセイを書くように先輩から仰せつかってからはや数ヶ月・・・。立派な過去のエッセイに恐れおののいて、なかなか筆も進まず、いよいよというところまで来ました。

結局、過去のエッセイに遜色ないと思えるほどの書くべき事もなく、等身大でいこう、ということで、のっけから完全な私事で恐縮ですが、現在三十うん歳独身(♂)のワタクシめは、合同コンパ、いわゆる合コンに余念がありません。何しろ、女性にモテモテでウハウハな人生が送れると思っていたために、弁護士になったほどです(その発想が既に推してしかるべしですがねっ)。

でも、まったくそんな様子は無く、今では、弁護士になったことを毎日ただひたすら本当に後悔しています(←あれ)。

そして、合コンの時、ほぼ必ず女性から聞かれる質問に、「あ、弁護士なんだね!ねえ、『異議アリ!!!』っていうの?」というのがあります。

・・・・・いやいや、言いませんて。いや、言うけど、1年に1回くらい、それも、なんとなく立ち上がりながら、「あ、すみません、いや、あのー、その、異議的な、いやその、ごにょごにょデンデン(云々)」、みたいな。

ことほどさように、世間の弁護士に対するある種の思い込み、また、ステレオタイプやそれに基づくテレビ番組は多く氾濫しており、内心、忸怩たる思いです(嘘)。

ところで、当弁護団が対象とする案件は、医師(医療)に関するものですが、医師と弁護士は、同じ専門職だからか並列して語られることも多いと思います。きっと、医療ドラマも同じように、医療従事者の方が見れば、「んなアホな。。。」ということの連続なんでしょう。

・・・と、そのように言いながら、私は、医療ドラマが大好きです(えっ)。

高校受験当日の15日前に大腸炎で入院したワタクシが暇を持てあまして見たドラマは、なんとなんと!あの、初代「救命病棟24時」!!!うーん、懐かしいですなあ。おっと、年齢が分かりますね(汗)

15年以上経った今でも、江口洋介(あんちゃん)演じる進藤先生の言葉(の趣旨)が忘れられません。

いかにも利潤追求的なステレオタイプな超嫌なやつな副院長に対し、「ここには、患者を死なせて平気なやつなんて一人もいない。自分が間違ったんじゃないか、本当は助けてあげられたんじゃないか、そうやって自分を責め続ける、そんな連中ばかりです」

そんな救命病棟24時に影響を受け、このワタクシ、何を血迷ったか、高1の時に一瞬医師を目指しました。化学のテストで7点を取って早々に諦めましたがねっ!

そうして、何の因果か、医師(医療従事者)の責任に纏わることを扱う当弁護団に所属して、医療問題を扱うようになりました。うーん、本当になんでだろう。。。あ、化学が7点だったからか(違)

ここにいらっしゃる諸先輩、同輩、そして後輩までも、本当に、スキル&マインドが素晴らしい方ばかりで、先の進藤先生並みです。本当に頭が下がります。本当にすごい先生ばかりです。私もスキルアップのために日々研鑽しなければ・・・・。

医療事件は、結局のところ、医師・医療従事者の責任を問うことにほかなりません(調査活動も、「責任」の「有無・程度」の調査です)。

そう、そこで、私ごときが、医療機関や医療従事者の責任を問うことの、根本的なジレンマと矛盾が生じるのです。

生命・身体を預かる医師・医療従事者。

身を粉にしてやってくれているけれど、人である以上、ミスもあるかもしれないし、ちょっとした怠慢にも似た気持ちも、あるかもしれません。

いったい、私自身が、そのように崇高な場面で日々奮闘している医療従事者の責任について、何かいうことのできるだけの人間なのか。

日々自問自答してその答えを探していますが、なかなか自信をもってすぐに“YES”と言えないというのが嘘偽らざるところです。でも、きっと、そういった崇高な場所に向き合うために、まず自らの襟を正す、ということを常に自覚することではじめて、立派な仕事ができるようになるのかもしれません。

当弁護団で医療事件に携わるようになって、自分のあり方、姿勢、判断に対して、日々、進藤先生よろしく自分を省み、日々精進しようと、医療事件に接するたびに、思うのでした。